喰う寝るふたり 住むふたり

日暮キノコ作の「喰う寝るふたり 住むふたり」は10年間の交際をしている一組のカップルの生活が描かれている作品です。私はそこまでの長いお付き合いの経験が無いので、リアリティであったり、あるあると感じるような部分はあまり感じられなかったのですが、同じような境遇にある方にとっては、かなり身近に感じられる作品だと思います。そうは思いつつも、これまでの経験等なから、こういう思いをしたことがあるな、と感じる部分もたくさんあったので、男女交際を一度でもしたことがあると非常に楽しめたと思います。

また、この作品の大きな特徴として、一つの出来事を男側の視点と、女性側の視点で描いているので、その視点の違いから生じる考え方、認識の違いが面白いドラマを作り上げています。時にはすれ違ったり、楽しみを共有したり、悲しみを共有したり、結局は丸く収まるようにはなっていますが、それらの出来事の一つ一つが登場人物達を作り上げているようで、一緒に彼、彼女の人生を体験しているようでした。

また、作者さんは女性らしいのですが、男から見てもこういうのはよくある、と感じられるくらいに彼氏側の内面を踏み切って、しかも巧妙に描けているのは本当に素晴らしいと思います。だからこそ、彼女側の視点も引き立っていますし、男には分からない部分も描いているので、そのあたりも非常に楽しんで読むことができました。

ただ、個人的に一番好きだった部分は、その二人のカップルに関係した人物のエピソードがそれぞれの単行本の巻末に描かれている所です。この話だと第三者視点から、カップルを描いているので、見方としては私たち読者に非常に近いと感じることが多く、またそのカップルに係わったことで新しい道が開けていくようにそれぞれのエピソードも描かれているので、見ていて感動を覚えるエピソードがかなり多かったです。特に、最終巻のエピソードが意外な存在の視点から描かれているので、驚きと共にこんな風に思うのも納得できると感じる部分もあったので、非常に良かったです。

単行本は全5巻とかなり短い短編となっていますので、非常に読みやすく、それいでいて短くともボリュームとしてはばっちりと感じるような内容の濃さでした。